母乳に次ぐ完全食、発芽酵素玄米

執筆担当は院長貴男です。

皆さんは玄米に対してどのようなイメージを持っているでしょうか?
健康に良さそう、便秘が改善しそうといったポジティブなイメージを持っている方もいれば、おいしくなさそう、調理が大変そうというネガティブなイメージを持つ方もいるでしょう。

玄米は健康にいいというイメージが定説で、事実、さまざまな健康効果が学術的に認められています。
皆さんの中にも、玄米食を続けて健康を取り戻した経験がある方もいるでしょう。

しかし、実はメリットばかりではないのです。デメリットの部分もきちんと理解したうえで、上手に生活の中に取り入れていきましょう。

 



白米と玄米はどう違う?

そのような米の種類があるのではなく、「精米度合い」の違いによるものです。


玄米は栄養素が豊富ですが、食物繊維も多く、消化しにくい
という特徴があります。
精米すればするほど口当たりは良くなりますが、同時に貴重な栄養素も削られてしまいます

当施設のランチでは普段の食事でも続けやすい「七分搗き」と「発芽酵素玄米」を取り入れています。



 




白米 玄米からヌカと胚芽をほぼ全て取り除いたもの。
一般的に食べられているお米。食べやすいが、栄養素がかなり少ない状態。血糖値も急激に上がりやすい。
五分搗き〜七分搗き 玄米から、ヌカと胚芽を一部取り除いたもの。
精米度合いによって呼び方が変わる。ほどよく栄養素を残しながら、食べやすさもある。
玄米 収穫されたお米から「もみ殻」だけを取り除いたお米のこと。
栄養素が豊富だが、体質や年齢によっては食べにくさを感じる場合もある。
発芽酵素玄米 玄米と小豆を発芽直前まで寝かした後、玄米と小豆の酵素の力で発酵させた玄米。

発芽酵素玄米とは、玄米と小豆を発芽直前まで寝かした後、玄米と小豆の酵素の力で発酵させた玄米です。

普通の玄米よりも消化吸収しやすいのが特徴で、胃腸が弱い人や、高齢者、子どもにもおすすめできます。胃に負担をかけない形で玄米の栄養とパワーをしっかり摂り入れることができます

酵素化されているので消化によく、年齢や体質を問わず食べやすい。
血糖値もおだやかに上がって下がり、酵素が消化の働きを助けるので、体にもやさしい。
腹持ちがいいので食べすぎず、ダイエットにも良いのです。

 


玄米を食べることはどのような効果があるのでしょうか。


栄養素が豊富

玄米にはビタミンB群、ビタミンE、微量ミネラル(鉄、亜鉛、セレンなど)が豊富で、身体の代謝を助けてくれます。白米にしてしまうと、これらの栄養素は2分の1から10分の1に減ってしまいます。同じお米を食べるのなら、栄養素が多く含まれるほうがいいですね。
他の食品にはない、玄米でしか摂取することのできない栄養素も含まれています(ガンマ-オリザノール、フィチン酸、フェルラ酸など)。

 

腸内環境の改善
腸内環境が悪いというのは、単に便秘になるとか、下痢になるというだけではありません。ここ20年程の研究で、さまざまな病気と腸内環境の間には深く関係があることが分かってきています。そこで一役買ってくれるのが玄米です。玄米には食物繊維が豊富に含まれています。
◎便の量を増やしたり、出やすくしたりする
→腸の中に余分なものがたまりにくくなる
◎善玉菌のエサになり、善玉菌がより増えやすい環境にもしてくれる

腸内環境を整えることは、深刻な病気をできるだけ予防する上で外せないポイントなのです。


次に、玄米のデメリットについてあげてみます。

(1)消化・吸収が必ずしもよくない
これは食物繊維が豊富であるがゆえのデメリットです。私の臨床でも、ときどき玄米の不消化による症状を見かけます。特に子どもに玄米ばかりを食べさせると、便秘しやすくなる、元気がなくなる、おやつに甘いものを欲しがる、などの症状が出てきます。吸収をよくするためには、よく噛むということが極めて重要です。私も、玄米は一口百回噛みなさいとよく指導されたものです。しかし、それが難しい年齢や性格、歯の状態の場合、デメリットが出てきてしまいます。

(2) 季節や体調によっては身体に負担を与える
普段は玄米を食べている方でも、暑い夏には玄米を食べたくなくなる、という経験があるのではないでしょうか。陰陽の観点からいうと、玄米は陽性寄りの食べ物なので、暑い夏に陽性の食べ物である玄米を入れてしまうと、身体に負担をかける可能性があります。
胃腸の不調があり、消化能力の落ちている方にも、玄米はお勧めではありません。
玄米の持つ栄養素やエネルギーは、消化能力がしっかりしていればこそ、生きてくるのです。

(3)玄米は美味しくない??
これは味の好みはもちろんありますが、炊き方がかなり関係しています(水の量、水に浸す時間、炊飯時の圧力など)。これらによって、かなり食感や味が変わります。
私自身も、玄米を食べ始めたころは、玄米は美味しくないけれども、病気治しの目的で、修行として食べているというイメージでした。 普通の炊飯器は圧が弱いため、玄米モードに設定しても、固さは残りやすいように思います。


もう一つ、玄米についていいと言えるポイントがあります。
それは一物全体食であるということです。
「一物全体食」とはマクロビオティックの概念にある言葉です。

一物全体食 食べ物を食べるとき、生命体の一部分ではなく、全体をいただくことがいいという考え。例えば、大根なら美の部分だけでなく皮や葉っぱも、魚なら切り身よりは、小魚のように頭からしっぽまで食べられるもの。

当施設ではマクロビオティックを専門として推進しているわけではありませんが、考え方など大いに参考になるものがあります。

玄米を食べることは、「お米」という1つの生命体の全体のエネルギーを身体に取り入れることになります。これは大きなパワーを身体にもたらします。白米では、胚芽などの重要な部分が除かれているため、栄養的にももったいないのですが、エネルギー的にも片手落ちになっています。科学的な言葉で説明するのは難しいですが、エネルギーを取り入れるという感覚をぜひとも養ってみてください。


「玄米の上手な取り入れ方」

最後に、玄米を上手に食生活の中に取り入れていただくための、ちょっとした「考え方のポイント」を3点お伝えしておきます。

玄米に関する考え方のポイント
(1) 菜食にこだわらない。
(2) 食べたくないときは食べない。
(3) 良い結果が出ないときは、他のことを見直してみる。

(1) 菜食にこだわらない。

「玄米菜食」という言葉を聞いたことはありませんか。徹底して玄米食をしている方やその指導者の中には、動物性食品は一切不要という考えの人も少なくありません。玄米には豊富に栄養が含まれているから、というのがその理由です。当クリニックに訪れる患者さんにも、ときどきそのように徹底した玄米菜食をしている方がいらっしゃいますが、少量の動物性食品を食べるように指導することがあります。たんぱく質、脂質、微量ミネラルの不足からくる症状をきたしている方には、動物性食品に含まれる栄養素が有効だからです。そうして指導を守っていただくと、症状が改善する例をしばしば経験してきました。玄米を食べるからといって、必ずしも「菜食」にこだわりすぎないのが第一のポイントです。

(2) 食べたくないときは食べない

食べたくないときは無理に玄米を食べる必要はありません。玄米はとても陽性の力が強い食べ物です。以下のようなときには、自然と食べたいと思わなくなるものです。

・身体が陽性に偏っているとき
・夏場

逆に玄米がおいしく感じるときは、どんなときでしょうか。

・身体が陰性に偏っているとき
・冬場
・身体が冷えているとき(季節問わず)

このようなときは玄米ごはんを食べたり、玄米珈琲を飲んだりすると、身体が元気になってきます。

ただし、ジャンクなものや甘いものを食べ慣れている方の場合、たとえ栄養的には必要だとしても、舌や脳が受け付けず、玄米を美味しくない、食べたくないと感じる場合もあります。


(3)良い結果が出ないときは、他のことを見直してみる

玄米に関して、私の臨床例で多かった声は以下の二つです。

・玄米で便秘が悪化した
・玄米を子どもに食べさせたら、やたらと甘いものを欲しがるようになった

まず、玄米で便秘が悪化するケース
この原因は、摂取する水分の不足、脂肪の不足、運動不足などがあげられます。まずはこれらの習慣を変えてみて、便通の変化をみましょう。
また、玄米は白米よりもしっかり噛むことが一層大切になります。噛み方が不十分であったり、胃腸の血流が悪いと、消化不良を起こしやすく、便秘の原因になることがあります。このような場合は、酵素玄米など、消化しやすい形の玄米を食べるのがよいでしょう。

次に、子どもが玄米を食べて甘いものを欲しがるようになるケースです。これは子どもの消化機能が未熟であるため、玄米から必要十分な糖分を吸収できていないことが考えられます。
この場合も、酵素玄米を試してみる価値があります。それでもうまくいかない場合は分搗き米を食べさせるのが良いでしょう。